私道の紛争1 ‐ 私道の通行権

私道の通行をめぐる法律問題は、身近に生じうる法的紛争の一つです。

  しかし、一口に「私道を通行している」と言っても、それがどのような権利に基づき通行しているのかということは、簡単に分かるものではありません。

 民法上定められている通行権には、囲繞地通行権(民法210条)や通行地役権(民法280条)があります。

 しかしその他にも、通行権には、契約(賃貸借契約や使用貸借契約等)による通行権や、慣習による通行権、協定に基づく通行権等多くの種類があり、その通行権がどのような権利なのかによって、通行している人の権利・義務や、通行させている人の権利・義務は、全く異なってきます。

  例えば囲繞地通行権における権利・義務関係について、通行権者は、通行している土地の所有者に対して、基本的には償金を支払う義務を負います(民法212条)。

 一方で、囲繞地通行権が発生している場合、通行権者は、必要があれば通路を開設することが出来ます(民法211条2項)。これは、単純に囲繞地である他人の敷地を通行することが出来るというだけでは、囲繞地の使用状況によっては通行に不便な場合があり、また日常生活の上でも、明確な通路がある方が通行する側と通行させる側の双方にとって紛争が生じる可能性が少なくなることから、認められている権利です。

  しかし、囲繞地通行権については、具体的事例において、そもそもこれが発生していると言えるケースは、非常に少ないのが現状です。

  また、仮に囲繞地通行権が発生していて、通行権者が通路を開設することが認められても、囲繞地通行権の本来の内容は、ただ公道まで通行させれば良いというものですから、通行権者が開設する通路に、たとえば2メートルの接道をさせる義務(建築基準法43条)が囲繞地の所有者にある訳ではありません。

  このため、実際に囲繞地通行権が発生しているといえる事案であっても、実際に囲繞地通行権を利用するケースは、現在では極めて少なくなっています。

 また、例えば通行地役権や契約に基づく通行権等においては、通行をさせている側の人間が、通行をしている側の人間に、通行料を払うよう求めることの出来る場合もあります。

 しかし、通行権者が通行料を支払っているというケースは、現実にはあまり多くありません。

 また、通行料を支払っていると、無償で通行をしている場合と比べ、かえって通行権が強い権利となることになります。したがって、通行させている側にとっては、通行料をとって通行をさせることが必ずしも良いこととは限りません。

  このように、通行権は多種多様なものがあり、その法的関係も複雑なものが多いため、私道の通行をめぐりお困りの際は、弁護士にご相談することをお勧めします。

 当事務所では、代表弁護士藤井が通行・道路問題を含む土地・建物の法律問題を特に専門の一つとしてきたこともあり、これまでも、私道の通行に関する紛争について、多くのご相談・ご依頼を受けてきました。

  なお、私道の通行に関する紛争においては、問題となっている土地の形状や周囲の土地・建物との位置関係等、具体的状況を把握することが不可欠です。

 当事務所にご相談にいらっしゃる際は、地図・公図、問題となっている道路や周囲の土地・建物の形状・位置関係が分かるものなどをご持参下さい(詳しくはお電話でご予約の際お問い合わせ下さい)。

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