私道の紛争3 – 私道負担

土地や建物を売買する場合、その土地または建物の敷地と道路の関係は、重要な確認項目の一つです。

 建築基準法上の道路に接道していなければ建物の新築が出来ないことや、接している道路が2項道路の場合セットバック義務があることは、前回のコラムで述べました。

 そのほかにも、例えば自分の土地に新しく上下水道管やガス管、電話線等をひくために、他人の所有する私道を通さなければいけない場合、原則としてその私道の所有者から承諾を得る必要があります。

  上で述べたのは、敷地とその周囲にある道路との関係についてですが、一方で、その敷地の一部を通路(私道)として提供しなくてはいけない場合もあります。

 その土地の一部に、私道となる敷地部分がある場合、その私道に該当する敷地部分を私道負担といいます。

  私道負担として提供しなければならない部分については、その土地上に建物を建築する際の建ぺい率や容積率を算出するための土地面積に含めることは出来ません。

 また、私道負担となる部分上には、建物を建てることができないため、建物を建築する土台となる地形も、私道負担となる敷地部分の位置や形により変わってきます。

 建物を建てる目的で土地を買おうとする場合、その土地の建ぺい率や地形等はとても重要ですから、その土地の私道負担については、事前に調査をして確認する必要があります。

 買主が予想もしていなかった部分について、後から私道負担があると判明した場合、その負担部分の面積や位置、形によっては、当初建築しようとしていた建物を建てられなくなってしまうこともあります。

建築しようと計画していた建物が建築不能になってしまった等の場合には、売主に対して責任追及をする可能性も出てきます。

  売買される土地に、すでに道路が完成している場合には、私道負担となる部分が比較的はっきりしており、現地に行ってみれば分かることが多いでしょう。

 一方で、分譲地などで宅地造成中の土地を売買しようとする場合には、私道負担として提供しなければならない土地部分について、建物の敷地と、まだ明確に区別出来ないこともあります。

  このように、私道負担は、建築基準法との関係や、通行との関係等において、大きな影響を持つ問題であるため、不動産業者(宅地建物取引業者)は、「私道に関する負担に関する事項」について、書面を交付して説明しなければならないという義務を負っています(宅地建物取引業法35条1項3号)。

 不動産を売買しようとしている場合で、その敷地と周囲の私道との関係や、その敷地の私道負担について疑問がある方、トラブルが生じお悩みの方は、是非当事務所にご相談下さい。

当事務所の代表弁護士である藤井篤弁護士は、通行・道路問題を含む土地・建物の法律問題を特に専門の一つとしており、敷地と私道の問題について、的確なアドバイスをいたします。